デス博士の島その他の物語 ジーン ウルフ
2006.07.10 *Mon
![]() | デス博士の島その他の物語 ジーン ウルフ、伊藤 典夫、柳下 毅一郎 他 (2006/02) 国書刊行会 この商品の詳細を見る |
久々の翻訳本です。70年代〜80年代の代表的なSF作家の本。
「だけど、また本を最初から読みはじめれば、みんな帰ってくるんだよ…きみだってそうなんだ」孤独な少年の元に物語の登場人物が訪れる―ウルフの代表作にして不朽の名作「デス博士の島その他の物語」、治療を目的とした島における少年たちの非情な運命を詩情豊かに描き出すネビュラ賞・ローカス賞受賞作「アイランド博士の死」、冷凍睡眠から目覚めた男を待ち受けていたものは…「不死」のテーマをサスペンスフルに展開する「死の島の博士」、文明崩壊後のアメリカでの謎と幻惑に満ちた彷徨を流麗な筆致で綴る「アメリカの七夜」、目の見えない少年が繰り広げる夢と奇蹟と冒険の物語「眼閃の奇蹟」、そして限定本に付された著者による「まえがき」を特別収録。「もっとも重要なSF作家」ウルフの傑作中短篇を集成。
意識が定着しない主人公だらけなのですが、設定や状況説明をあまりせず、読み進めるうちに明るみになってくる構成には「執念深い読書」が出来るようにこの本に鍛えられました(笑)
「ストーリー」と呼ぶよりも、途方もない世界の「設計図」を読み解く本に感じる。
表題作は3つの物語で構成されています。
『デス博士の島その他の物語』
『アイランド博士の死』
『死の島の博士』
そして「まえがき」にある『島の博士の死』
doctore、island、deathの三語からなる縦列組み合わせ。
もちろんタイトルだけでなく 、各物語の中身にも順列組み合わせの効果が仕組まれています。
「また本を最初から読みはじめれば、みんな帰ってくるんだよ…」「本」という媒体に見出される「永遠の命」
「自分がいなくなったとしても代わりはいくらでもいる」という、「永遠のサイクル」
ついに「永遠の命」を手に入れた人間。
どれも不条理な結末が印象的だった。
「永遠」をテーマにしているところでは、クラフト・エヴィングと同じなんだけど、出している結末(答え)は真反対の方向性があって、とても興味深かった。そう遠くない未来に、実際この物語と同じ出来事が起きてそうで、なぜか切実に受け止めてしまうんだよね。こんな作品を70年代に描いた人がいるとは…。言葉を失ってしまう。
意味深な静寂の中に「ガツン」とくる確かな威力が後に残る。
■目次■
まえがき
デス博士の島その他の物語
アイランド博士の死
死の島の博士
アメリカの七夜
眼閃の奇跡
解説
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