どんなときでも同じようにおいしかった。だから、何よりレシピに忠実につくることが大切なんです…。ある町に越してきた映画好きのオーリィ君と、彼にかかわる人たちとの日々の暮らしを描く短編集。
■サンドイッチ
儀式のように日常を綴ってる。「さすが吉田さん」と言いたくなるような、軽すぎず重すぎずな言葉選びにニタニタしつつ読み始める。
■月舟シネマ
あるあるあるよ〜。「中の下」みたいな映画でも、ちょい役の役者さんがどうしても気になって仕方なくなること。そして同じ出演シーンを何十回と再生してしまうこと。
■電報
そうきたか〜!携帯メールが電報ですか〜(≧∇≦)さすが吉田さん!
今現在、私もオーリィ君と同じ立場なので、安藤さんの「あっという間に時間は過ぎてしまうよ」はグッッッッッサリと突き刺さりました。そしてオーリィ君と同じ夢をみたりして…。とにかく痛かった。
そして安藤さんが可愛すぎる。大家さん(マダム)と奪い合いたいくらい惚れてしまった。
■夜鳴きそば
サンドイッチに関するこだわりのお話。
なるほど。「作り手の最後が食べる側の最初」ねぇ。面白い。
■レインコート
ははぁー!「アンコがちょびっと」だからアンチョビですかー。
■うわの空
タイトル通り、オーリィ君の意識も飛びやすくなっていて、読者の立場の私も偏頭痛で意識を飛ばしつつ読みました。しかし、オーリィ君は凄いね。ついこの間まで無職だったのに。
■口笛
意識はますます飛びぎみに(オーリィ君の?私の?)。
それでも大切なことが書かれてる。「その「誰か」を笑顔の方に近づけること―それが仕事の正体ではないか。」
■遠まわり
うまく言葉に出来ないけれど、この章が好きだ。
特に「遠まわり」に関するところが。私も方向音痴のくせに自信過剰だから、道に迷っても(勘で行動しているので「迷う」とも言えないような気がするが…)「引き返そう」なんて考えず、どんどん進んでしまう人間です。でも、オーリィ君のお姉さんほど楽しめもしないかな?結局、怖がりながら進んでますから。
■宙返り
<トロワ>の新メニュー、オムレツ・サンド食べてみたい〜。
リツ君の類友、森田君が登場。大人は子供っぽくて、子供は大人っぽい。なんだか奇妙な世の中ですな。
■秘密と恋人
オーリィ君。なんだか少年のような恋焦がれ方ですね。あおいさんに翻弄されっぱなし。でもなんだか映画のフィルムに定着してしまってる。
■名なしのスープ
おいしいスープはしばらく忘れ去っていた記憶をも思い出させるみたい。スープの湯気を感じることが出来ました。
■アンテナ
「幸運」というのは気づかぬうちにみんなに等しく配給されていて、それをうっかり使いすぎると、バランスが崩れて日々の「幸運」の強弱にムラができてしまう。←安藤さんの考え方とほぼ同じ考えを持っている私。大それた幸運でなくとも、「幸せすぎて怖い」病が日々付きまとう。(汗)
■時計
リツ君がお母さんの時計のネジを密かに巻いている姿は想像するだけで健気。「誰かの形見を貰い受ける」とか、お洒落で素敵ですが、本当は持ち主が元気でいてくれて、側にいてくれたら、どんなに幸運なことだろう。
そして、7分だけ早い時間の中で生きることにしたオーリィ君…向うの世界(?)にいってしまった感じ。
■名なしのスープのつくり方
「名なしのスープ」のレシピは、生きることと同じことだった。
立ち止まっている私は最初の段階「期待をしないこと」の時点で躓いてしまっているんだな。
相変わらず行間の隙間が最高に心地良い本でした。
「3」だけがかそこそとすれ違ってゆくのは
つむじ風食堂の夜 / 吉田 篤弘の隣町。それだけで、もう、ねぇ。
「生きること」にあまり躊躇しないひとは、こういう本を読んでも、ただイライラするだけだったりするんだろうか?常に躓きつつしか「生きられない」私は、絡まった糸をゆっくり解してくれる本だと思う。たとえそれが臆病すぎる「逃亡」だったとしても。